闇バイトの蔓延で、警察当局はトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)を重点的に摘発するようになってきている。トクリュウは拠点を固定せず、SNSや秘密裏のルートを通じて人材を集め、迅速かつ流動的に犯罪行為を展開する集団を指す。
その中で風俗店やキャバクラなどに女性を紹介するスカウトもトクリュウの一種であるとして逮捕が相次ぐようになっている。
わかりやすくいうと、スカウトは狙い撃ちだ。
2025年1月には、スカウトが受け取る報酬金、いわゆるスカウトバックが犯罪収益と認められ、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益収受)で有罪判決が下された。この判決により、今後は「初犯であっても実刑を免れにくい」ほど厳格な処分が適用される可能性が高まっている。
もともとスカウト行為は多岐にわたる。路上での直接勧誘からSNSを活用した巧妙な呼びかけまで、女性を取り込む手口は幅広く変化してきた。
これまでは新宿・歌舞伎町など繁華街の路上で声をかけるのが一般的だったが、警察の摘発リスクを嫌い、昨今はTwitterやインスタグラムなどのSNS上で多数のアカウントを運用しつつ、匿名性を盾に勧誘をおこなう手法が増えている。
また、スカウト会社や仲介企業が背後で手数料を吸い上げる構造も一般的で、組織ぐるみで女性を風俗店やAVプロダクションへ紹介する例が後を絶たない。
警察庁は、職業安定法違反や迷惑防止条例違反のみならず、組織犯罪処罰法を用いて厳重な取り締まりを続ける方針を鮮明にしており、この一連の逮捕は強硬姿勢の表れといえる。
特に注目されているのは、トクリュウとSNSの匿名性の結びつきだ。彼らは固定拠点を持たず、必要に応じて仲間や口座を切り替えながら活動を続けるため、捜査当局も全貌を把握するのは容易ではない。
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