ヒト・モノ・カネが全世界を飛びまわるのがグローバル化の正体である。モノとカネは早くから国境を越えて世界中をめぐっていた。そして、LCC(格安航空会社)が主流になっていくと、いよいよヒトもビジネスや観光でボーダーレスの移動をするようになっていった。
インバウンドを支えているのはLCCで「安く移動できるようになった」からでもある。その結果、ヒトと一緒に風土病や伝染病もまた世界中に伝播して、パンデミックが起きやすい環境となっている。
サーズも、エボラも、コロナも、そうした流れで広がった伝染病である。人々がこれだけ激しく移動する時代は過去にはなかった。そうであれば今後、新たな風土病や伝染病も、またたく間にパンデミックになっても不思議ではない。
現代社会は、パンデミックが起きやすい社会となったのだ。
現在、アフリカではエムポックス(サル痘)が激しく広がっている。その中心地となっているのは、アフリカのど真ん中に位置する国家「コンゴ民主共和国」である。
1997年までザイールといわれていたこの国は、長らく内戦や近隣との紛争で荒廃しており、人口の74%は絶対貧困である。現在も、580万人以上が国内で難民状態となっており、暴力とレイプが吹き荒れている。
そんな国で、エムポックスが蔓延するようになっているのだった。エムポックス・ウイルスは1958年にサルからはじめて発見されたので当初は「サル痘」と呼ばれていた。しかし、2022年に誤解や差別を避けるため、「サル痘」から「エムポックス」への名称変更されたという経緯がある。
人への感染がはじめて確認されたのは1970年代のザイールであった。静かに潜伏していたこのエムポックスは、ザイールがコンゴ民主共和国となってからも風土病として感染が続いていたのだが、これが2020年頃から世界に広がるようになっていた。
2024年7月と8月、重症化しやすい「クレードI」と呼ばれるタイプのウイルスが拡大していることを受けてWHOは「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言している。アジアには、タイにクレードIのエムポックスがすでに入ってきている。
コメントを書く