◆インド最強の富豪がインド最大のスラム「ダラビ」を消し去ってしまうのか?

◆インド最強の富豪がインド最大のスラム「ダラビ」を消し去ってしまうのか?

ムンバイ周辺に広がるスラム地区「ダラビ(Dharavi)」の古ぼけた家屋をすべて破壊して、ここにハイセンスな超高層ビルをいくつも作る計画が持ち上がっている。先頭に立って進めているのがインドの富豪ゴータム・アダニが所有する企業なのだが、この計画に対してスラムの住民の大半が不安を感じている。

開発がはじまったら、彼らの家屋は無償で提供されるという約束はあるのだが、彼らのビジネスや共同体や慣れ親しんだ場所はすべて消し去られる。超高層ビルが建ち並び、インド有数の「スマートシティ」なんかに変貌したら、彼らの居場所なんかまったくなくなるだろう。

ダラビはもともと沼地だったのだが、19世紀末のイギリス植民地時代に急速な人口流入によって貧困層が集まるようになって、現在はここに70万人から100万人もの人々が暮らしている。

これだけの人口がここで暮らしていたら、もはやそこはスラムといっても住まいがあるだけでなく、さまざまな店もあって「街」として機能するようになっている。事実ここでは多くの人々がダラビ内に仕事を持って働いている。

ゴミ処理、リサイクル、革製品の製造、衣類の製造などがおこなわれており、5000社から1万社以上もの工場が存在している。これらのビジネスは廃棄物などを再利用するものも多く、ゴミ処理場を有効に活用しているともいえる。

再開発されたら、こうした地場ビジネスはすべて消し去られる。しかし、国が経済発展していくと、都市に広がるスラムが邪魔な存在となるのは、どこの国でも同じだ。とくに不動産で儲けたい開発業者にとっては、一等地を広く占めるスラムを再開発して儲けたいという動機は強い。

ダラビもいよいよ「邪魔な存在」と認識されるようになってきた。そして、富裕層の金儲けのために「邪魔な貧困層は追い散らされる」という状況になりつつある。強引な地上げも発生するだろう。

もちろん、追い出される過程でカネや新居をもらえることもあって、再開発には賛成している住民もいる。だから、ダラビの共同体も揺れている。

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