アンヘレスの幽霊が出るホテル。部屋の片隅で震える裸の女

アンヘレスの幽霊が出るホテル。部屋の片隅で震える裸の女

フィリピンのアンヘレスで、モリーンと呼ばれていた女と知り合った。

ダンサーにふさわしく、長身で足の長い女性だった。店の用意した白のカウボーイ・ブーツをはいてステージに立つと、数いるダンサーの中でも彼女は一際目立った。踊り終わった彼女がステージから降りてきたとき、他の女性と話をしていた。

しかし、モリーンは強引に割り込んできて隣に座り、強引なアイ・コンタクトをしてくるのだった。

水着姿の彼女の身体は引き締まっていて、本当に魅力的だった。目も大きく、何人かのダンサーがしているように、彼女も青いアイシャドーをたっぷり使ってモダンな美しさを引き立てており、自分の魅力を売り込むのに長《た》けていた。

モリーンが他の女性を圧倒できるというのは、彼女がこのバーの売れっ子であることを意味しているし、恐らくそれだけの収入も得ているのだろう。その自信は態度にも現れており、実に堂々としたものだった。

「あなた、日本人でしょ?」
「うん」
「一目で分かるわ。わたし、男の出身国を当てるのがうまいのよ。外れたことはないわ」
モリーンはそう自慢した。

店には何人かの白人の男が客としてカウンターに座っていたので、「じゃあ、彼は何人だい?」とそれぞれ男のうしろ姿を指さして聞いてみると、「あの人はアメリカ人、あの人はドイツ人」と言い出した。

「なぜ、彼がドイツ人だって分かるんだい?」

あまりに自信たっぷりなのでそう訊ねると、「だって、身体がおっきいし、金髪だし。きっとドイツ人よ」と再び断言した。そんなものかな、と思いながら飲みに来ている男たちを見つめた。モリーンは足を組むと、急にウエスタン・ブーツの中からタバコを取り出し、さらに手を突っ込んで今度はライターを出した。

「これはわたしのポケットよ」とモリーンはブーツを叩いて笑った。「何でも入ってるの。こっちには財布が入ってるわ」

モリーンは足を組み替えて今度は……

(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきた売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア フィリピン編』にて、全文をお読み下さい)

『ブラックアジア・フィリピン編 売春地帯をさまよい歩いた日々(鈴木 傾城)』

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