この2年以上にも渡るコロナ禍で、多くの風俗嬢が食えなくなって表社会に出戻っていく光景があったのだが、それと同時に表社会で食えなくなった女性が逆に風俗に入り込む動きも同時に起きたのが2021年だった。
今もこの流れが続いていて、若い新しい女性が次々と夜の世界に入り込んでいる。パパ活から流れてきた女性もいれば、「バニラ」のような高収入アルバイトを謳うサイトからやってきた女性もいる。4月は裏社会でも女性がよく動く月でもある。
言うまでもないが、昼間の世界と夜の世界では生活様式も哲学もまったく違う。もし表側の社会からドロップアウトし、そこから外れて生きるのであれば、表社会で培った「常識」も捨てなければならない。
なぜなら、夜の世界では昼間の世界に「いられなかった」人間の吹き溜まりとなっているわけで、彼らとの人間関係は昼間の世界の人間関係を持ち込んでも成り立たないのである。
夜の世界の住民たちは、無邪気でも純真でもない。自分だけが無邪気で純真でいると、ただ踏みにじられるだけになる。夜の人間たちとの付き合いが長くなるにつれて、誰でも早い段階でそれに気付く。
そのため、表社会からドロップアウトした人、誰であれ、次第に出会う人と距離を持って付き合うようになり、警戒心を持つようになっていくはずだ。
何しろ、新しく出会う人、親しげに寄ってくる人を信用していると、ことごとく騙されたり、金を毟り取られたり、踏みにじられたりするからだ。
夜の世界でも誠実な人はもちろんいる。しかし、信じられると思った人が騙してきたり、自分を好きになってくれたと思った人が金を盗んで消えたりする経験を何度もすると、さすがに無邪気なままではいられない。
昼間の世界でも信用できない人はいるが、夜の世界はそうした人間が凝縮されて存在している。そうであれば……