1980年代、バンコク中央駅(フアランポーン・ステーション)からヤワラーに向かう間の地区は、毎日が、まさに「喧噪」と言ってもいいほどの賑わいを見せていた。
しかし、1990年代から始まったタイ政府の「冷気茶室潰し」からこの地区はすっかり下火となり、誰も寄りつかなくなった。
ここに沈没していた多くの不良外国人は、一部はカオサンへ、一部はカンボジアへ、一部はチェンマイやミャンマーに散らばって行き、今ではもうこの地区は昼間でも歩いている人はあまり見かけない。
ここは単なる通過地点に過ぎず、街を歩いても開いているのは時代遅れのミシン屋だとか、漢方屋だとか、棺桶屋だったりする。漢方の匂いは街をいっそう古臭く見せる。
しかし、夜になると今でも何人かの売春女性が、まるで影のようにさまよっている。ゴーストタウンのような夜の闇で、女性たちが動物の群れのように、影から影へとうごめく。
そんな地区で影のような女性と出会ったときの手記(投稿)を送ってくれた人がいたので、紹介したい。