ある女性と話している時、「傾城さんは合コンだとか婚活とか行ったことがないんですか?」と無邪気に尋ねられた。「今まで、その類いの集まりは一度も行ったことがない」と私は答えた。
「興味ないんですか?」
「興味ないですね」
私は生まれてこの方一度たりとも「婚活」なるものをしたことがないし、関心すら持ったこともない。仮にもし私が婚活に参加したとしても、恐らく誰も相手にしてくれないであろうことは予測できる。
そもそも表社会の女性に関心がないし、もし私がそういう女性に興味を持ったとしても相手にされることもないだろう。仮に私が婚活サイトみたいなものを活用したとしても、誰かとマッチングするところまで至らないはずだ。
私はヤクザではないが、私が婚活サイトみたいなものをするというのは、ヤクザの世界にいた男が婚活サイトで表社会の女性とのマッチングを願うことと同じくらい滑稽な話だ。
私は定職を持っていないし、自慢できるような学歴も経歴も肩書きもまったくない。サラリーマンのような定収入もない。キャリアを見れば、私は正真正銘の「負け犬」なのである。
ただし、幸いなことにちょっとした資産があって、慎ましく生活していたら一生暮らせる分は保障されている。しかし資産の90%は株式資産である。普通の人から見たら「この人はバクチ打ちなのか?」と思われても仕方がない。
そういうわけで、私は表社会《カタギ》の女性に相手にされるような人間ではない。相手にされるのではなく、むしろその場から排除されるタイプでもある。妙な話だが、私は「性愛格差」の底辺なのである。表社会では……。