タイで屋台の女性が果物を売っていたりするのだが、よく見ると片方の鼻の穴に何かプラスチックの棒のようなものが突き刺さっていることがある。
ヤードムと呼ばれる「嗅ぎ薬」である。ヤーは薬、ドムは「嗅ぐ」なので、本当に言葉そのままだ。
ミントの強い刺激で嗅ぐと気分がリフレッシュできるというものなのだが、ヤードムによって微妙に違うニオイや刺激があって、いろんな種類のものが売られている。
タイ人は男女問わず、これが好きな人が多い。コンビニでも薬局でも、どこにでも安く売っていて、子供から老人までみんな持っている。私も、たまに買って持ち歩く。
暑い中を歩いて、バス乗り場やバスの座席に座れたら、おもむろに取り出して二度か三度、吸うのが本来の使い方だ。
しかし、あまりにこのヤードムを気に入りすぎてやめられない人は、鼻の穴に突っ込んだままにして過ごしている。滑稽だ。目が合うと、ニヤリとして目くばせすることになる。