シンガポールの初代首相である李光耀(リー・クワンユー)は非常に保守的かつ道徳的かつ厳格な人格者だった。彼はシンガポールをクリーンで知的な国家に作り上げようとした。
道にゴミを捨ててはならない、ツバを吐いてはならない、乗り物の中で食べたり飲んだりしてはならない……と、多くの罰則を作って、国民をきつく縛り上げた。
その結果、シンガポールは東南アジアでも稀に見る潔癖な国家になった。
もちろん、その罰則の中には性的なものも含まれている。たとえば、同性愛は禁止されていた。オーラル・セックスもアナル・セックスも禁止だ。
オーラル・セックスとアナル・セックスに関してはさすがに時代に合わないと考えたのか、2006年11月4日、これは「異性間」に限り、合法化するという通達がなされた。
この通達の裏には、こんな法律を守る人間など誰ひとりとしていなかったことが上げられる。とくにオーラル・セックスに関してはそうだった。