オリンピック期間中に苦境に落ちる世界がある。風俗業界、売春業界である。人々はイベントに釘付けになって夜の世界に来なくなる。さらに警察は国際イベントになったら摘発を強化して店が警戒して自粛する。
東京五輪のような華やか「国際イベント」は多くの国民にとって喜ばしいことなのだが、夜の世界に生きる女たち、特に風俗業界や売春の世界に生きている女たちにとっては、息を潜めて警戒しなければならないものである。
警察は、こうした国際イベントが行われる前やイベント期間中は、裏社会の締め付けを非常に厳しく行う。「浄化作戦」である。特に狙われるのは、箱型の風俗店だ。
1964年の東京五輪では、当時「トルコ風呂」と呼ばれていた現在のソープランドが警察に大圧力をかけられ、警察の本気度にトルコ風呂の経営者は震え上がって経営を自粛した。
1990年4月から9月に大阪で行われた「花の万博」でも、やはりソープランドが摘発に次ぐ摘発の憂き目を見た。
風俗に詳しい男たちの間ではよく知られていることなのだが、大阪にはソープランドが存在しない。それは、この大阪で開催された「花の万博」で、大阪の梅田(キタ)や難波(ミナミ)にあったソープランドが徹底的な摘発を受けて壊滅したからなのである。
2002年の日韓FIFAワールドでは、当時の東京都知事であった石原慎太郎が、歌舞伎町浄化作戦をはじめて中国人マフィアを歌舞伎町から追い出すと同時に、歌舞伎町の箱型ファッションヘルス等の多くを駆逐した。
今回はどうだったのか……。もちろん、大きな動きがあった。