2020年4月から5月までの緊急事態宣言では、多くの風俗嬢と客が超濃厚接触を避けたので、業界は壊滅的ダメージを負った。風俗嬢たちの収入は激減した。
6月から7月になると、どうしようもなくなった風俗嬢たちが選択を迫られるようになっていた。感染覚悟で仕事に戻るか、それともコロナにかからないことを優先して休み続けるのか……。
7月から女性の自殺も増えているのだが、風俗嬢たちは「座して死を待つよりも」と思ったのか、恐る恐る職場に復帰するようになった。
箱型の風俗であるソープランドなどは客の戻りが非常に遅かった。しかし、デリヘルは違う。「出かけて、仕事して、終わったらすぐに退去する」というヒット&ラン型の行動パターンを取れるので、戻りは早かったのだ。
この業界に詳しいライターに聞くと「古参の嬢が戻ったというよりも、新しい嬢がどんどん入ってきて新陳代謝が起きた」と私に言った。「どちらかと言えば、若い子が増えたようなイメージがある」とも付け加えた。それが2020年の後半の動きだったようだ。
こうした感触は統計データで取れるわけではないので何とも言えないこともあるのだが、もし2020年の後半に新陳代謝があったとすると、コロナに対する捉え方の違いがそれを促したはずだ。
当然だが、「コロナが怖い」と思う女性は、超濃厚接触の風俗から遠ざかる。こうした女性は恐らくコロナ禍が収束するまで、あるいはワクチン接種が終わるまで戻ってこない。金銭的に困ったら、超濃厚接触ではない昼職に就く。
他にも、「コロナにかかって感染経路が探られたら自分が風俗に勤めていることがバレてしまう」とか「結婚していて家族や夫や子供などに感染させるわけにはいかない」と思う風俗嬢も戻らない。
しかし、世の中にはそういう風俗嬢ばかりではない。