コロナ以後は、逆にアレルギー疾患の人が爆発的に増えていくのではないか?

コロナ以後は、逆にアレルギー疾患の人が爆発的に増えていくのではないか?

「清潔であればあるほど良い」と私たちは思うが、清潔であるということですらも、行き過ぎると害悪になる。「ほどほどに、いい加減」が生きやすい世の中であると言われているが、なるほど、そうなのかもしれない。そこで、ふと思うのがコロナのことだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

コロナも、かかりやすい人とかかりにくい人がいて当然

2020年はコロナ禍で多くの人がステイホームを余儀なくされているのだが、これによって興味深いことが発生している。気管支炎や喘息という呼吸器の疾患が激減していることが分かったのである。

日本の医療機関を調査したところ、子供では63%、成人でも44%も患者が減った。その理由は「ステイホームで家にいる環境が長いこと」「アルコールや消毒液による手洗いがなされていること」「マスクを常時していること」などが挙げられている。

それでも、アレルギー疾患者の子供37%、成人56%は気管支炎や喘息という病状が相変わらず続いている。

彼らが「まったくコロナ対策していない」というのはないと思われるので、それでもアレルギーが消えないというのは、「そのような体質である」というのが窺える。

体質の違いというのは、私たちの思っている以上に大きなものだ。人が大丈夫だったから自分も大丈夫だとは限らない。逆に、自分が大丈夫だから、他人も大丈夫だというのも間違っている。

現地の水を飲んですぐに下痢になってしまう人もいれば、泥水を飲んでも平気な人もいる。

睡眠薬でも、強盗に何かを飲まされて意識不明になってしまう人もいれば、まったく効かないので強盗が「どういうことだ」と驚いてしまうほど耐性の強い人もいる。

数年タバコを吸っていただけで肺癌になってしまったという人もいれば、30年タバコを吸っていても何ともない人もいる。

体力が人によってまったく違うというのは誰でも知っているのだが、体質も人によってまったく違う。その体質の差は、人種によっても違うし、同じ日本人によっても違ったりする。

コロナに関しても、かかりやすい人とかかりにくい人がいて当然だと思う。コロナにかかりにくい体質というのもあるはずだ。

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アトピー肌の人たちは皮膚が常に傷ついている状態

セックスは他人と接触する行為なので、アレルギー気質の人は性病にかかりやすいというのはよく知られている。特に危ないのはアトピー肌の人たちだ。

アトピー肌の人たちは皮膚が常に傷ついている状態であり、健康な肌であれば防御できていた悪いウイルスや菌を防御できないのである。その結果、不潔な環境での不潔なセックスをしていると、ありとあらゆる病気にかかる。

アトピーとはアレルギー性疾患のうち、肌に問題を起こしているものを指す。アレルギーとは、ある物に対して免疫システムが過剰に反応するものを差し、その原因となる物質は人によって様々だ。

何らかの食物がアレルゲンかもしれないし、ハウスダストやら、ダニやら、猫の毛やら、花粉やら、金属やゴムまで、こんなものまでアレルギーの原因になってしまうのか、というものまでアレルゲンの原因となる。

実はこのアレルギーだが、日本で爆発的に増加しており、それも1970年代以降に生まれた世代で急上昇していることが分かっている。

1970年代以降に何があったのか。

日本の高度成長が一段落し、子供たちは「生まれながらにして、清潔な環境で育つようになった」のである。清潔な環境が、アレルギーを増加させたのだ。

不潔な環境がアレルギーを生むのではない。逆だった。これは、国立生育医療センター免疫アレルギー研究の医師である斉藤博久氏が、統計と研究により導き出した仮説である。

他にも、「兄姉がいる子供と一人っ子では、一人っ子の方がアレルギーになりやすい」とか「田舎の子供と都内の子供では、都会の子供の方がアレルギーになりやすい」とか「家畜を飼っている家庭の子供と、そうでない子供では、そうでない子供の方がアレルギーになりやすい」等々の統計も出ている。

これらはすべて、幼少の頃から雑菌にさらされていた子供の方がアレルギーになりにくいということを示している。

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普通の人には何でもないものだが毒ガスも同然になる

アレルギー患者は、人口100万人以上の大都市で乳幼児期を過ごした人は92%が陽性であるという統計を出している医師もいる。

それが本当ならば、1970年以降に大都会で産まれた子供たちは、みんな何らかのアレルギーを持っているということでもある。さらに言えば、密閉されたマンション形式の建物に暮らす乳幼児はさらにアレルギーになる確率が高まる。

最近ではアレルギーの重症化も見られており、何と外出することすらもままならない「化学物質過敏症」まで行き着いた子供たちも出てきたという。ほんの微量のアレルゲンに触れただけでもアレルギー反応が起こるので外に出られないのである。

都会は化学物質が溢れる地域だ。そして、その化学物質はどんどん増えている。

化学物質過敏症の人は、それこそ「香水」のニオイでもアレルギー反応が起こったりするのだから厄介だ。当然、「芳香剤」も「消臭剤」もダメだ。「化粧品」もダメだ。人ごみに入ると、このすべてに接することになる。

激しい頭痛、吐き気、実際の嘔吐、皮膚の紅斑が出てくる。普通の人には何でもないものだが、化学物質過敏症の人には毒ガスも同然なのである。だから、人ごみにも入れない。

そこまでいかなくても、大都会でマンションで暮らすというのは、子供にとってアレルギーになりやすい環境である。

アトピーもまたアレルギー体質のひとつなのだから、大都会の子供たちの中でアトピー体質の子供たちがたくさん出てくる。

現在、約1280万人もの人たちがアトピーであると言われているが、そうだとすると日本人の10人に1人はアトピーであるということになる。アトピーの人たちは、私たちが思っている以上にたくさんいるということになる。

ただし、発症は1970年以降の子供たちが中心である。

1970年以降と言うと、44歳まで含まれるので、すでにアレルギーやアトピーの問題は、子供たちだけの問題ではなくなっている。今や、乳幼児から40代の人間まで、全員が共通して持つ「悩み」である。

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逆にアレルギー疾患の人が爆発的に増えていくのではないか?

アトピー肌の人は、途上国を放浪するなど自殺行為であると言える。特にインドのスラムのような場所に行った日には、生きて帰って来られない可能性もある。売春地帯などもっての他だ。

インドの売春地帯の不潔さは、私たち先進国に住む私たちの想像を絶している。じめじめした家屋の中。窓もなく、カビの匂いが充満する部屋。汗に濡れてじめじめしたベッド。誰か他の男の汗と精液の匂い。這い回る南京虫。

シャワーを浴びない女たちの身体。女たちの汗。女たちの皮膚病。女たちの性病……。

日本人は恐らく想像もできないと思われるので、この環境を紹介すると、ひどく大袈裟に書いているように見えるかもしれない。まったく大袈裟でも何でもなく、一語一句、すべて現実である。

インドの売春地帯については、こちらで取り上げた。(ブラックアジア:売春地帯をさまよい歩いた日々・インド編

まさに病気になる要因が山のようにそこにあって、これでは普通の人たちですらも病気になってしまうかもしれないような環境なのである。

ところが、こんな環境に生きているインドの子供たちがアレルギーが少なく、逆に世界で最も清潔と言われる日本の子供たちがアレルギーで苦しんでいる。その皮肉に、私はめまいを感じる。

「清潔であればあるほど良い」と私たちは思うが、清潔であるということですらも、行き過ぎると害悪になる。「ほどほどに、いい加減」が生きやすい世の中であると言われているが、なるほど、そうなのかもしれない。

そこで、ふと思うのがコロナのことだ。人々はコロナ禍を避けるために、ますます清潔な環境になっている。これによって、気管支炎や喘息という呼吸器の疾患が激減している。

しかし、無菌状態になればなるほど、そして清潔が行き過ぎれば過ぎるほど逆にアレルギーになる人が増えていくのだ。コロナ以後は、逆にアレルギー疾患の人が爆発的に増えていくのではないかと私は危惧している。

『アレルギーと腸内細菌(藤田 紘一郎)』

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