酸攻撃。被害報道が女性をさらに危険に落とす地獄の悪循環

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閲覧注意
死ぬよりも悲惨、殺すよりも残酷……。女性に酸をかけて顔面を破壊する酸攻撃(アシッド・アタック)という犯罪は、そのように形容される。

被害者は身もよだつような痛み、精神的ショック、外見の変貌、失明や失明危機、呼吸困難等に激しく苦しむ。さらには何十回にも渡る皮膚移植や手術を余儀なくされ、その苦しみは一生続く。

こうした犯罪は、インド・パキスタン・バングラデシュでは恒常的に行われてきたのだが、残虐非道な犯罪であるにも関わらず、いまだに続いている。

その理由は単純だ。アシッド・アタックは「女性の人生を破壊するのに、劇的な効果がある」からである。

テレビや新聞で、アシッド・アタックが悲惨なものであると喧伝されればされるほど、皮肉なことが起きる。逆にアシッド・アタックは犯罪者たちにとって「これは、効果がある」という認識になっていくのだ。

車を運転したら、アシッド・アタックされる国

最近、アシッド・アタックがアフガニスタンやイランまで、珍しくない犯罪になっている。

イランでも、アシッド・アタックされたアメネ・バーラミという女性が、犯人を処刑直前に許すという事件が話題になったことがある。(女性に酸を浴びせて顔を損壊させる事件の裏に何があるのか

アメネ・バーラミ事件は、実はイランでは「氷山の一角」でしかない。

このイランでは、2014年10月になってから、イラン中部イスファハンで、若い女性が次々とアシッド・アタックを受けるという連続アシッド・アタック事件が起きていた。

車を運転していた女性が、いきなり見知らぬ男からアシッド・アタックされたのである。犯人は逮捕されていないのだが、犯人の目的は明確だった。

「車を運転する女は、イスラムの戒律を軽んじている」
「イスラムを軽んじている女は、社会の敵だ」

イスラム諸国では、たとえばサウジアラビアでもそうだが、車を運転する女性は「イスラムを軽んじている危険な女」という発想になることが多い。

(1)女が車を運転するというのは進歩的だ。
(2)進歩的な女はイスラムの教えから逸脱する。
(3)そんな女は懲らしめてやれ。

このような論理で、車を運転する女性はイスラム的ではない=反イスラムというレッテルを貼られる。そして、「こんな危険で生意気な女は懲らしめてやれ」という感情を持った男に襲撃されるのである。

それがイラン中部イスファハンで起きているアシッド・アタック事件につながっていると推測されている。

些細な事柄で、いきなりアシッド・アタックされる

イランでは、年間どれくらいのアシッド・アタックが起きているのか。

2014年11月19日、イラン警察のアフマディー・モガッダム司令官は、イランでは「年間600件から700件」のアシッド・アタックが起きていると報告した。

このような、残虐非道な犯罪が、年間600件から700件も起きているというのが衝撃的だ。そのアシッド・アタックは、その多くが「個人的犯行」である。

服装が乱れているとか、結婚を断ったとか、生意気だったとか、自分の言うことを聞かないとか、そういった些細な事柄で、女性はいきなりアシッド・アタックを受ける。

一部ではこの残虐な犯罪がイスラム諸国全体に、ますます広がっていくのではないかと言われている。

アシッド・アタックという犯罪が、女性の人生を破壊するのに効果があると分かったら、ますます真似する人間が増えるからである。

女性がそれで苦しむと認識されればされるほど、それは逆に女性を懲らしめたいと考える男たちの選択肢になってしまう。女性の被害や苦痛を報道すればするほど、その手口は広く知られていき、ますます被害を拡大させていくのだ。

アシッド・アタックを行った者を極刑にしても、この被害は収まることはない。

なぜなら、社会全体に「男尊女卑」「女性蔑視」が蔓延しており、「言うことを聞かない女は、痛い目に遭わせてやれ」という短絡的な思考をする男がいくらでも生まれて来るからだ。

「生意気な女を最大限に苦しませてやれ」と考えたとき、アシッド・アタックは非常に有効な手段と化す。それが、イスラム圏全体に、そして世界に広がっていく。

女性にとって、アシッド・アタックとは「男尊女卑」や「女性蔑視」が生み出した地獄であるという認識をしなければならない。









被害を受けた女性たちの姿。こうした卑劣な犯罪があることや、それでも生き抜こうとしている女性たちがいることへの理解のために撮られた写真である。

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