最近、パッポンでひとつの事件が起きている。52歳の南アフリカ人の男ローランド・ブロックスが起こした事件だ。
この男は南アフリカの「白人」だったので、ボーア人であると思われる。
ブロックスは5年間、タイで暮らしていた。パッポンにはゲイバーだけが集まった「特殊な小さな通り」があるのだが、彼はそこの常連で、5年間ただれた生活を送っていたようだ。
しかし、長らくタイで暮らしているうちに金が切れた。彼は何とかして金を作るか、もしくは帰国しなければならない時期に来ていた。
彼の選択は「金を作る」というものだった。しかし、タイの売春地帯に堕ちて溺れていた男がまともなビジネスを思いつくはずもなく、またすんなりと金を作れるわけもない。
そこで、ブロックスが考えたのは、自分が溺れているものを転売することだった。ブロックスが溺れていたもの、それはドラッグだった。