ある美しいベンガル出身のインド女性が私に「ダッカ(バングラデシュ首都)にも兄弟がいてビジネスをしている」と言った。
そのときに、私はすぐにバングラデシュがイスラム教国であることを思い出して、彼女に「あなたのファミリーはムスリム(イスラム教徒)ですか?」と尋ねたことがあった。
その瞬間、柔和に笑っていた彼女の表情が強ばった。そして、強い調子で「ノー」と否定した。
たとえ勘違いでも冗談でも、自分をイスラム教徒として見るのは許さない、という非常に強い決意がそこにあった。
部外者からみれば、それは怒るようなことでもない何気ないひとことのように思うが、恐らく彼女にとっては信じられないほどぶしつけな誤解であり、質問だったのだろう。
もちろん、彼女はヒンドゥー教徒で、それも「生粋」のシヴァ信奉者だった。