母親が「売春していた」というのを知っていた少年は、売春する女性に特別で複雑な感情を持つようになる。
母親が誰か知らない男とセックスをして稼いでいることの嫌悪。しかし、そうやって母親が稼いだ金で自分が養われたという現実。
感受性の強い子供は、母親がやっていることに対して怒りを感じながらも、それを止められない無力感や虚無感を抱き、それがずっと心の中にわだかまる。
連続売春婦殺しを行う犯罪者の多くは幼少時代、「母親が売春をしていたのを知っていた」か「母親自身に性的虐待された」経験があると言われている。
売春する母親に対する嫌悪は、思春期に入ると「売春する女たち」に転じていくケースが多い。嫌っているのだが、その存在はあまりにも人格形成に大きな影響をもたらしたので、無視することもできない。
嫌悪を感じながら、それから逃れられない。だから、ますます嫌悪を膨らませていく。2010年に3人の売春女性を殺害したとして終身刑になった男もそうだった。
売春女性を殺すばかりか、その肉を食べていたとされるこの男の母親も、若い頃は売春ビジネスをしていたのだった。