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彼は44歳の真面目な男だった。カンボジアのカンダル州のある小さな村の高校教師をしていた。
真面目ではあったが、結婚するにはすでに歳を取っていたし、そもそもそれほど優れた容姿でもなかった。ところが、彼にも運が巡って来た。
チャンサという名前の23歳の女性と巡り合ったのだ。
カンボジアにはベトナム女性がたくさんいるのだが、彼女もベトナム人だった。多くのカンボジア人はあまりベトナム人に好意を持っていないのだが、この44歳の朴訥とした風体の男モア・メアーンは別だった。
男はすっかり彼女にぞっこんになった。21歳も年下だったが、それが彼を狂わせたのかもしれない。若く美しい彼女を前にして、すべてが吹き飛んだようだ。
若い女性と自分が不似合いであると理性が働くこともあったのかもしれないが、彼はこの若い女性と一緒になりたいという感情の方が勝っていた。
そして、それが悲劇となった。最終的に、彼は肉切り包丁を握りしめて彼女に振り下ろす結末となった。