2019年12月30日。シンガポールの売春地帯ゲイランの安ホテル『ゴールデン・ドラゴン・ホテル』で34歳のインドネシア人女性が首を絞められて殺されるという事件が起きていた。
メイドの仕事で働きに来ていた女性が、シンガポールで知り合ったバングラデシュの男と別れ話になったところを殺されたのだった。彼女は別れたかったが、バングラデシュの男は彼女を手放したくなかった。そんな事件だった。
ゲイランで起きた殺人事件なので、殺されたインドネシア人女性は売春と関わっていたのかと思われていたのだが、そうではなかった。ただ、こうした事件が起きるたびにゲイランの悪評は響く。
ゲイランはすでに再開発の波に飲まれており、古い平屋の安宿や売春施設は次々と取り壊されている。売春地帯としては精彩を失っており、事件後も警察の巡回や取り締まりが厳しくなってストリートに立つ女性はゆっくりと消えている。
ゼロではないのだが、かつての野放図なまでの売春の光景はすっかり消えた。シンガポールの売春ビジネスはどうなってしまったのだろうか。