2019年3月。フランスの首都パリで、少数民族「ロマ」に対する攻撃が相次いで、警察はロマを襲撃したフランス人を20人逮捕するという事件が起きていた。
何があったのか。SNSで「白いバンに乗ったロマのヤツらが、若い女の子や子供たちを誘拐している」という根拠のないデマが瞬く間に広がり、このデマを信じた一部のフランス人が、怒り心頭に発してロマを襲撃したのだった。
「ロマ」とは、私たちがかつて「ジプシー」という言い方をしていた民族のことを指している。彼らはヨーロッパの大地を、国境を無視して流れ流れてあちこちの国に住み着いては移動するライフスタイルを取っている。
独自の文化があり、決してその国や地域と交わらず、子供たちも学校に行かずにストリートで物乞いや泥棒をしている。
ヨーロッパでは大勢の子供たちが観光客に群がってカバンやリュックから勝手にモノを盗んでいく子供たちの集団がいるのだが、こうした泥棒をしている子供たちの多くはロマであることから、地元民からも観光客からも激しく嫌われている。
だから、SNSで広がったデマは「ロマのヤツらの日頃の行いを見ると信憑性がある」と多くの人たちが思い、それが事件になっていったのである。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。
さらに嫌われるようになっているロマ
フランスは「自由・平等・博愛」を旗印にして多文化共生を国是としてきた国だった。しかし、大量の移民・難民が中東からやってくると、国民感情は一変した。
イスラムの移民・難民たちはフランスの文化を尊重することもなければ従うつもりもなく、自分たちの文化・宗教・戒律・服装をそのまま定着させて、それを権利として認めろと叫び出した。
「ブルカを認めろ、豚肉料理はフランスから排除しろ、イスラムは容認しろ、ユダヤは出て行け」と彼らは自らの主張を押し通すばかりで、フランスの文化などまるっきり尊重しなかったのである。
こうした現状を見て、フランス人は「多文化共生など一部のお花畑のリベラルが考えた机上の理想主義である」というのをようやく悟って、「移民・難民は出て行け」という巻き返しが起きるようになっている。
こうしたイスラムの移民・難民に隠れて影が薄くなっているのだが、その裏でロマに対しても激しい嫌悪がフランスでも渦巻いていた。
ロマは、今も昔も他所(よそ)からやってきて、勝手に住み着いてゴミをまき散らして去っていく。突如としてやって来れば、公園や道路わきや広場を不法占拠し、子供たちがあちこちで泥棒や万引きを始め、勝手に大集会をして、地元のギャングたちと衝突を起こし、ドラッグを販売する。
もともと良く思われていないロマは、フランスに大量の移民・難民が入り込むと、さらに嫌われるようになってきているのである。
フランスだけではない。オランダ、フランス、スイス、イタリア、ベルギー、果てはウクライナでも、ロマの排斥を叫ぶ声が大きくなってきている。
イタリアでは2018年6月にサルビーニ内相が、「東欧から移住したロマの人口を調査する」と言って波乱を呼んだのだが、なぜこれが問題だったのか。それは、人口調査して「こんなにもロマが勝手にやって来ていた、排除すべきだ」という論点につなげようとしていたからだ。
イタリアでも「ロマには出て行って欲しい」と考える人が大勢いるのだが、EU(欧州連合)のマスコミは徹底した「多文化共生」「グローバル主義」なので、多文化共生を受け入れない政党・政治家は徹底的に糾弾される仕組みとなっている。
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苦々しく顔をしかめる人が大勢
ロマは決して少ない民族ではない。ヨーロッパ全土で合わせると約600万人以上もの人たちがいる。これらの人々の全員「盗人」ではないし、「悪人」でもない。
しかし、彼らの少なからずが強盗・万引き・ドラッグ売買に関わっているのは否定できない。「すべて」がそうではないのだが、現地の法などまったく守らず、イメージ通りの悪行を働く人間が多い。
ロマの集団は、誰の許可もなく勝手に広場を不法占拠して暮らし始めるのだが、彼らが「そこにいる」というのがそもそも不法であり、彼らはいる間は地元の人々や行政と常に緊張状態にある。
だから「ロマ」と聞いただけで、苦々しく顔をしかめる人が大勢なのだ。
さらに、ロマが嫌われる理由のひとつとして、流浪文化を持つ彼らのほとんどが「極貧」であることもある。
ロマの中には移動するのをやめてヨーロッパのどこかの国に定住する人たちもいるが、まだまだ方々を移動して回っているロマも多い。その多くが極貧の中にある。
定住しないで移動して回るのだから「蓄積」ができない。移動するということは、「必要最小限のものしか持てない」ということでもある。
物も人間関係も、すべてが必要最小限にとどめられる。なぜなら、物が増えると移動ができなくなるし、人間関係が増えると抜けられなくなるからである。放浪重視の結果として貧困に落ちる。
これが、放浪民族としてのロマの構造的な弱点になる。
だからこそ、ロマの人々の間で、不法占拠や、泥棒や、万引きや、ドラッグ売買や、恐喝などの犯罪が増えていく。
それがますますロマの迫害と偏見につながる。そして、迫害されるとまた去ってどこかで同じことをする。この繰り返しがロマのライフスタイルである。
2019年3月にパリで起きたロマ襲撃事件は、デマを信じてロマを襲撃した側をマスコミは激しく糾弾しているのだが、こうした事件は総合的に見ないと何が起きているのか分からない。
ヨーロッパは何百年もロマの問題を解決できていないのだ。
今もなお解決できていないというのが露呈したのが2019年3月にパリで起きたロマ襲撃事件であるとも言える。ロマに対する嫌悪や排斥はこれからも続くのだろうか。歩み寄りがない以上、続いていくのは間違いない。(written by 鈴木傾城)
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2019年3月。フランスの首都パリで、少数民族「ロマ」に対する攻撃が相次いで大勢が逮捕されている。EU(欧州連合)ではロマ嫌悪、ロマ排斥がずっと続いており、何百年経っても一向に解決できないでいる。多文化共生がいかに難しいかはロマを見れば分かるはずだ。https://t.co/oPkO8GqR6S
— 鈴木傾城 (@keiseisuzuki) 2019年4月5日
まったく理解できないし、許容ならざる民族です。
去年ドイツ行った時も、フランクフルト駅前にたくさんいました。
ビルの軒下に粗大ゴミのようなマットレスを敷き、手当たり次第に物乞いをしてました。
また、赤信号で止まってる車の窓を勝手に洗い、金をせびってました。洗うというより、ちょっと擦る程度なのでむしろ汚してる感じです。
日本に来ることは無いと思いますが、ロマを含め、郷に入らない民族はすべて排除すべきです。
アメリカにロマがいるかどうか分かりませんが、スティーヴン・キング原作のロマとの戦いを描いたアメリカの田舎の町を舞台とする映画化された作品を見たことが有ります。
タイトルは「痩せゆく男」で、主人公のたいへん太った弁護士は、誤ってロマの老婆を運転中殺してしまいます。
ロマ達は田舎町の公園で巡回しながらサーカスをしていたのです。裁判が開かれますが、判事は弁護士と友達だったので無罪の判決を出し怒ったロマの長老は弁護士に「痩せていく」と呪いをかけます。
すると次第にその弁護士は痩せていき、最初の内はスマートになったと喜ぶのですが更にどんどん痩せていきます。このままでは生きながらミイラのようになってしまうと思った彼は、ロマに呪いをかけられたと悟ります。
ここからは暴力がテーマの映画監督サム・ペキンパーそこのけの激しいバイオレンスになり、ついに呪いをかけたロマの長老を脅し呪いを解かせることに成功します。
しかしここでハッピーエンドで終わらせないのがスティーヴン・キングです。
興味のある方はDVD化されていますからご覧ください、私は2度見ましたがもう1回見ても良いと思う位面白い作品でした。
私は映画は未鑑賞で文庫本で読んだのですが、最後の展開が呪いの完成の感、ありますね。上げて落とす手法は流石と思います。
auroreさんは原作を読んだのですか、私は映画は洋画を主に見ますが外人の小説はあまり読みません。
スティーヴン・キング原作とは知らないで,結構皆さん映画を見ていると思いますよ。
私の見たスティーヴン・キング原作の映画は他に、「スタンド・バイ・ミー」「シャイニング」「グリーンマイル」「ミスト」「バトルランナー」です。
地上波のTVで放送されている作品も多いので,見たことが有る方も多いのではないでしょうか?
日本にも山の漂白民、海の漂白民がいました。亡き祖母から聞いた話しです。
戸籍を持たず、一般の日本人とは交わらない独自の流浪するグループがいました。
海では漁、山では竹細工の農具、小物を売っていた?物々交換?し生活して
いたそうです。悪いことをする人たちではなかったそうです。
戸籍がないので戦争にも行っていません。戦後強制的に戸籍を持たされ定住
させられ同化していったそうです。
元は同じ言語を話す同じ民族だからできたのでしょうね。
山窩ですね。
今は90代の母から、戦前田舎の実家に
ナマズや竹細工を、時折どこからともなく風のように
やって来て、売り去って行ったと聞いたことがあります。