2015年8月、一橋大学の25歳の法科大学院生が、自分が同性愛者であることを同級生に暴露されて、激しいショックを覚えて精神的に不安定になり、最後に自殺したという事件があった。
この同級生は「お前がゲイであることを隠しておくのムリだ」と言ってメッセージ・アプリで友人たちに彼がゲイであるというのを勝手に暴露していた。
知人が自分が隠していた性の秘密を暴露する。こうした「本人がまだ公にしていないのに部外者が勝手にそれを公開してしまう」という暴露行為を「アウティング」と呼ぶ。
本人が充分に熟考して、自分が何者かを知って欲しいと考えて、公に告白するのを「カミングアウト」と呼ぶ。
最近ではアップルのCEOティム・クック氏のカミングアウトが話題になった。
カミングアウトとアウティングは、同じ「公開」でもその状況はまったく違う。
カミングアウトは本人の納得と覚悟の上に為されるものであり、それは本人の意志に則った告白である。しかし、アウティングはそうではない。それは、ある意味、卑劣な行為だ。