鶯谷は山手線内で最もイメージが悪い街だ。上野の次の駅というのに降りる人はあまりおらず、「山手線の中で一番乗降客数が少ない駅」としても知られている。
駅自体が何となく再開発から放置されており、誰もこの駅を気にもしない。そのため、この駅を降りると時代が急に20年も30年も逆戻りしたような感覚になる。
なぜ、この街は放置され、東京の人間もこの街を話題にするのを避けようとするのか。
その理由は簡単だ。鶯谷は「ラブホテル街」だからである。駅を降りて北口に出たら、右側に細い路地がある。その路地を行くと、見渡す限りのラブホテルが軒を並べている。
そのため、「鶯谷を好きだ」「鶯谷によく降りる」と言えば、「ラブホテルが好きだ、ラブホテルによく行く」と誤解されてしまう恐れがある。
だから、普通の人は、鶯谷の話題を大っぴらに上げることができないし、女性なら特にこの駅周辺をよく知っているなんて絶対に言わない。
そんなことを言うと、風俗の女性だと思われてしまう。実際、この街をテリトリーにする風俗嬢は多い。今どき見なくなった「たちんぼ」すらもいる。
ただし、この街の「たちんぼ」は問題がある。