多くの男たちが「売春する女性と関わりたくない」と考え、多くの女たちが「風俗や売春の世界だけには堕ちたくない」と考える理由はどこにあるのか。
もちろん、それは道徳的に問題だからというのもある。
しかし、アダルトビデオやアダルトグッズのような「不道徳」なものが普通に売られて全世界で大きな産業を生み出しているのを考えると、道徳観が風俗や売春のブレーキになっているようには見えない。
表社会の人々を売春の現場に踏み入れるのを躊躇させている理由は、道徳ではなくもう一つの切実な理由の方が強いのではないかと推測される。
それは何か。それは「STD(性感染症)にかかりたくない」というものである。
STDと言えば、誰もが恐怖を抱くのはHIVである。エイズは今も不治の病である。適切な治療によって死の病ではなくなっているのだが、今のところは完全に治る病気ではない。
しかし、STDはエイズだけでなく、淋病・梅毒・クラミジア・ヘルペス・尖圭コンジローマ……と数限りない種類があって、これらの病原菌やウイルスは風俗や売春地帯に蔓延している。
それだけではない。