パタヤはアルコールとドラッグとセックスが蔓延した「売春地帯」である。世界中から熱帯の熱い身体を持った女たちを求めて多くの男が集まって、毎日のように堕落と快楽に溺れている。
あまりにも快楽が簡単に手に入るのだが、そのために「ずっとここにいたい。本国に帰りたくない」と思うようになる男も出てくる。
そうは言っても在留期間は決められているわけで、期間が来たら帰らなければならない。もし、期間が来ても帰らなければ「不法滞在」となる。
タイはこの不法滞在者が凄まじく多い国であることで知られている。不法労働者がいるのではなく、観光客があまりにも居心地の良すぎるタイから帰らないのである。
イギリスから来たリース・ベラという男もそんなひとりだった。リース・ベラは2012年に本国イギリスでレイプ事件を起こしているのだが、5年の刑期を終えて「人生をやり直す」ために旅に出た。これが2017年秋のことだった。
リース・ベラはまだ25歳だった。人生をやり直せると思った。しかし、向かった先はよりによってタイだった。
タイは東南アジアの魔界だ。そこで人生を充実させる人もいるが、気を引き締めないとすぐに人生を破滅させてしまう場所でもある。リース・ベラはどうなったのか。もちろん、あっという間に転落した。ひとりの女性を道連れにして……。