クリスマスになると、数年前にインタビューで知り合った千葉出身の20代半ばの風俗嬢を思い出す。所属するデリヘル店では超絶的なナンバーワンの女性だったが、会うと目をみはるような美人でもなく、派手でもなく、スタイルが抜群に良いわけでもなかった。
確かに清潔感と優しく明るい雰囲気には好感度は高かったが、「ものすごく美人」ではない。しかし、この女性が彼女の所属する店で最も売れている女性だった。
とすれば、性サービスに何か秘密があるのだろうか。彼女にそのあたりを聞いてみると、特段すごい技などを持っているわけでもないと彼女は笑いながら言った。それでは、何が彼女をナンバーワンにしていたのだろう……。
興味深いのは、彼女は明確に自分を「癒やし系」として売っていたことだった。「癒やしが一番大切じゃないかなと思ってます。なので私、本気で恋人になろうと思ってやってます」という旨のことを彼女は言った。
「寂しい人が多いから。恋人みたいにハグしたりお話したり一緒にテレビ見て笑ったりするだけで抜かないでも満足する人もいっぱいいます。本指(リピート客)も多いです。クリスマスイブとかも本指で完売になります。寂しい人が多いから……」
だから彼女は癒やし系で仕事をしていて、自分をセラピストだと位置づけていた。
若年層で単身世帯が増えているのは誰もが知っているが、単身世帯の男たちがみんな性欲がないわけでも孤独が好きなわけではない。恋人が欲しい、パートナーが欲しい、結婚したいと思って果たせない人も大勢いる。
だから、婚活ビジネスが大隆盛となっているのだが、婚活でうまくいかず困り果てて風俗に頼る男たちも少なくない。相手をうまく見つけられずに耐え難いほどの孤独に沈む男は想像以上に多いのかもしれない。
彼女は、そういう男たちにとっては「女神」であったに違いない。