2008年9月15日のリーマン・ショック以降、アメリカは未曾有の不景気に襲われた。割を食ったのがアメリカに密入国して底辺で働いていたメキシコ人たちである。
2009年よりメキシコ人は続々と仕事を失い、アメリカで働いて金持ちになるという夢も破れて無一文のまま本国に戻らざるを得なかった。
そして、2009年からメキシコの貧困層はどんどん増え始めることになる。
メキシコの貧困層は2008年は4900万人だったが、これが2010年になると一挙に300万も増えて5200万人になった。これはメキシコの人口のほぼ半分である。
なぜメキシコの麻薬カルテルが滅びないのか。なぜ人々は危険を承知しながら麻薬に関わっていくのか。その答えが、ここにある。
貧困が、人々を追い詰めているのである。