去年の8月より開始しておりました『アジア売春街の少女たち ~スワイパー1999~』ですが、いよいよ完成と相成りましたので、ご報告させて頂きます。当初、第6話の予定だったのですが、最終的には全12話となり、2021年10月22日に完成となりました。
これはマンガの単行本で言えば2冊分の分量になるのだそうです。
舞台になっているのはカンボジア・プノンペンの売春地帯であるスワイパーなのですが、2000年代前後に全世界に悪評を響かせたこの東南アジア最悪のエリアが、まさか20年後にコミカライズされるとは、当時そこにいた男たちは誰も思っていなかったと思います。
私自身、こうした場所がまさかコミックの題材になるとは夢にも思いませんでした。しかも、20代の女性が中心の読者層であるレディースコミックで売春の物語が展開されるとは二重に驚きです。
当初のブラックアジアは、女性の人権団体から「東南アジアの売春を幇助する害悪サイトのひとつ」として激しく突き上げられており、仕方がなく会員制にして女性を排除した「男だけの世界」にしたことを覚えている読者もおられるかもしれません。
それが今ではレディースコミックなのだから、世の中いろいろです。
ただ、現代の日本の若い女性たちに「東南アジアの貧困」とか「売春地帯」とか「ハイエナ」とか、そういう世界はSFと同じくらい縁遠い世界だと思いますし、本当に実感を持って内容を受け止めてくれるのかと、少し案じてみたりしております。
私はこの『アジア売春街の少女たち〜スワイパー1999』で若い女性たちが当時の世界を理解できなくても、これをきっかけにこのサイト・ブラックアジアだとか様々な国際ニュースを読んで、極貧に押し潰されて生きている女性たちに思いを馳せてくれたら……と考えております。
『アジア売春街の少女たち ~スワイパー1999~』
「売春地帯をさまよい歩いた日々」では書き切れなかった
ブラックアジアはカンボジアの売春地帯を描写することからスタートしたサイトなので、まさに『アジア売春街の少女たち ~スワイパー1999~』で書いてある内容がコンテンツの中心でした。
カンボジアの売春地帯が小説ではなく、リアルでどのようなものだったのかは、『ブラックアジア 売春地帯をさまよい歩いた日々・カンボジア編』で描写しております。ここでは収録していない中でもカンボジアの時事に関するコンテンツを書き続けていたので、当時は膨大な内容のカンボジア事情を書いていました。
『ブラックアジア 売春地帯をさまよい歩いた日々』でリアルな話を膨大に書き続けたのに、なぜそれとは別に小説という形で『スワイパー1999』を書いたのかという疑問を持たれる人もおられると思います。
その理由はこうです。
当時は売春地帯を巡っていろんな事件が発生していて、それを私の見聞きした範囲で描写する「売春地帯をさまよい歩いた日々」では書き切れなかったからです。
「売春地帯をさまよい歩いた日々」を書きながら、ふと思ったのは今まで知り合った本当に実在していた女性たちと、当時の本当にあった事件を合体させて小説を書けば、より時代の雰囲気がリアルに再現できるのではないかと言うことでした。
「実際のいた女性たち」と「実際に起きた事件」を扱うけれども、ドキュメンタリーではなくて、これらをパズルのピースのように組み合わせて書くと時代の空気感を捉えた小説になると思ったのです。私のすべての小説はこのスタイルで出来ています。
(ここから先はネタバレになりますので、会員制とします)