初めて香港を歩いたときのことだ。鳥カゴのようなケージが積み上げられた店があった。
ケージの中をのぞいたら、その中に大トカゲと蛇と蛙が、それぞれのかごに入れられていた。すべて生きているものだ。
のたくっている蛇を見ていると、中から女性の店員がやってきて「食べてみないか」と言う。
爬虫類専門のペットショップなのかと思ったら、そうではなくて蛇やトカゲを料理する店だった。
結局、私はそこで生きている蛇をその場で調理してもらったものをお粥にして食べ、蛇のキモの血をすすることになった。蛇を食べたのは、そのときが初めてだった。
さっきまで生きていた生物を口にする。蛇を食べながら、これが「食べる」ということなのだと実感したものだった。
日本人は魚だと平気だが、動物や爬虫類だと逡巡する。しかし、食べるという観点で見れば、すべて同じものなのだろう。