自分の生まれ育った場所、自分が長く住んでいた場所、自分の愛する人がいた場所、あるいは自分が心から気に入って愛した場所……。
人には誰でもそういった「大事な場所」がある。多くの人はそれは自分の故郷だが、故郷ではなくても、折に触れて懐かしく想い、帰りたくなる場所がある。
資本主義の世界では、仕事とチャンスは大都会に集中するので、多くの人々は仕事を求めて都会に向かう。これは日本だけの話ではなく、世界中のすべてで起きている社会現象だ。
東南アジアでも、アフリカでも、中国でも同じだ。誰もが食べていくために、仕事のある場所を求めてさまよう。
言うまでもなく、仕事のある場所とは大都会だ。
新しい大都会にすぐに馴染んで、生まれ育った地方をすっかり忘れてしまう人もいる。
しかし、多くの人は心の中で想い出が降り積もっている子供の頃の場所を想って、自分がそこにいないことに悲しさや寂しさを感じる。