東南アジアに沈没している人間の中には、得体の知れない男がたくさんいる。
フィリピンはそんな日本人たちの吹き溜まりになっていると言われているが、もちろんフィリピンだけではなく、タイでもカンボジアでも奇妙な日本人はたくさんいる。
彼らは、日本で食い詰めて東南アジアに渡っていくのだが、アジアに沈没したからと言ってそこで何もせずに生きていけるわけではない。
確かに物価は安いので、現地の人々と同じような生活をしていれば、それほど金もかからずに生活できる。しかし、それは一時的だ。
収入がなければ、やがては所持金が尽きる。そこで何かをしなければと彼らも焦るのだが、まともな仕事が得られるわけではない。かと言って日本に戻りたくもないと思っている。
そこで彼らは、手っ取り早く金を稼ぐために、いくつかのダーティー・ビジネスに手を出す。