各民族の好む料理、代表する料理はまったく違う。それぞれ多種多様で、独自色があって、それが他民族を驚かせたり、戸惑わせたりする。
味も違うが、匂いもまったく違う。
以前、インド料理屋にタイ女性を連れて行ったとき、彼女はどうしても「匂いが駄目だ」と言ってタンドリーチキン(チキン・ティッカ)を食べなかった。
日本人は納豆が食べられるのに、タイ料理のパクチー(香菜)が駄目だという人が多い。やはりその匂いが受け付けないのだという。
逆にタイ人はパクチーにはまったく抵抗がないが、日本の食材である「納豆」は駄目だろう。匂いで挫折するはずだ。
ニューヨークにいたとき、イタリア人の女性と一緒にコーリアン・タウンを歩いたことがある。
彼女は顔をしかめて「すぐにここから出たい」という。通りまで漂っていたのはキムチの匂いで、彼女はそれがたまらなく嫌だったようだ。