ギャンブル依存症の人たちと会って何度も何度も話を聞いていると、必ず最後は「借金」の問題が浮上してくる。ギャンブルと借金は切っても切れない関係だ。
ギャンブル依存は金がなくなって終わるのではなく、そこからが始まりなのである。多くのギャンブル依存者は借金に借金を重ねて自転車操業に落ちる。借金が膨らんでいく過程で、仕事を失い、友人を失い、家族を失い、家を失い、人生を失い、自らの健康も人生もすべて失う。
「本物の依存」は、破滅するのが分かっていても自分で止められない。
依存と言えばセックス依存のようなものもある。セックス依存で借金まみれになることはあるだろうか。もちろん、ある。私は売春地帯(Red-light District)で破滅する男たちを数十年も見て生きていた。
ストリート売春が主の途上国でセックスが一ドルや二ドルの国もあるが、多くの国ではセックスは高額なサービスである。非常に金がかかる。ここで溺れていたら、はした貯金しかないハイエナはあっという間に破産する。
実際、東南アジアの売春地帯では多くの男たちが破滅している。
ここ最近はコロナ禍で東南アジアの売春地帯も人が減って縮小してしまっているのだが、それでもタイ有数の売春地帯であるパタヤでは現地在住の白人《ファラン》が飛び降り自殺している。売春地帯に沈没して、金がなくなって自殺していくのである。
強烈な性の衝動や売春する女たちへのこだわりが捨てきれなくて、「このまま沈没していたら金がなくなる、破滅する」と分かっていても止まらない。そうした男が最後まで突き抜けて、闇金《ローンシャーク》に金を借りて首が絞まって死んでいく。
日本ではどうか。
日本では激しい性衝動やセックスに対する強烈なこだわりで風俗通いがやめられなくて借金まみれになってしまう男の存在をたまに聞く。給料日になったら、風俗に直行して金をばらまく。金がなくなったら、借金してまで通う……。