子供は誰もが親から愛されて育つわけではない。激しい虐待を受けて育つ子供たちも大勢いる。
日本でも虐待がうなぎ上りに増えているというのは統計でも報告されている通りだ。2019年に全国で「摘発」された児童虐待事件は1972件だった。
摘発されなかった児童虐待はどうだったのか。厚生労働省が児童相談所による児童虐待相談対応件数を出しているのだが、こちらを見ると平成30年(2018年)の統計で15万9850件だった。
摘発が約2000件、相談が約16万件。これは惨憺たる数字であるのは間違いない。しかし、これを見て「虐待されている子供たちは16万人だけ」と思うのは間違いだ。
家庭という「見えない壁」の中で、相談すらもされずに虐待され続けている子供たちも圧倒的に多い。虐待は「氷山の一角」であると言える。
「貧困・格差の拡大」と「虐待の拡大」は関連している。社会が混乱したり、失業者が増えたり、貧困層が追い詰められるような社会情勢になると、DV(家庭内暴力)と児童虐待は必ず増える。
ほとんどの親は、自分がどんなに苦しんでも子供を守ろうとする。自分は食べられなくても子供にはお腹いっぱい食べさせて、すくすくと育って欲しいと思う。子供のためなら、どんな苦労も厭(いと)わない。
しかし、そう思わない親も稀にいる。もともと親になる資格がない親、親の自覚がない親、無責任な親も存在するし、経済的に追い込まれて、子供が邪魔だと思うようになる親もいる。
「子供がいなければ自分の人生はまだいろんな選択肢があった」と考え、「子供は邪魔だ」という結論に行き着くのである。そして、悲劇が起こる。いろんな虐待が始まるのである。
日本でも子供に激しい肉体的な折檻(せっかん)を加えて虐待死させるケースもあるが、世界でも子供を虐待死させることなど珍しくも何ともない。親が見せる子供の虐待がいかに凄まじいのか、その光景を見ると言葉もないほどだ。
実際に、どのような光景があるのか見てみよう。