動物は食を楽しまない。動物は生きるために食べる。だから、野生動物は必要以上の過食をしない。
過食をして動けなくなると、自分がエサになるのだから、野生動物にとって太るというのは生命の危機なのである。
野生動物は大抵は食べるものが固定化している。一生、同じものを食べている。雑食であっても、美食のための雑食ではない。雑食も固定化された雑食だ。
人間も昔は野生動物に近かったかもしれない。しかし、現代人は違う。
現代人はただ「食べる」ことだけに満足しない。それが「おいしい」ことにこだわるのだ。「おいしい」ものであれば、それで過食して肥満になっていく。
ただ腹を膨らませればいいというわけではなく、美食でないとならないのである。つまり、現代人は「食べる」ことに楽しみがなければならないと考えているのが分かる。