私は熱帯に棲んでいる質素で貧しいけれども「強烈な何か」を感じさせる女たちが今も好きでたまらない。
1990年代にタイやカンボジアで知り合った女性たちの多くは、まだみんな豊かではなかったので、態度も粗野だったし、気取ったところもなかった。
もちろん、化粧の技術もとても原始的で、着ているものも基本的には粗末なものだった。
カンボジアなどは単に顔を白く塗りたくればそれが化粧だと多くの女性が思っていたようで、薄暗がりに白塗りの女性に会うと美しいと思うよりも異様に思ったほどだった。
タイも、バンコクから離れて南部をふらふらとさまよい歩くと、見渡す限り荒野と農村が広がっていた。農作業を手伝う若い女の子は粗末な服を着て黙々と仕事に勤しんで、そこに派手さは欠片もなかった。
そんな女性が売春地帯に堕ちて来ていた。私は彼女たちの持つ「何か」が好きだった。ひたすら彼女たちに惹かれた。その、「特別な何か」が私を惹きつけて離さなかった。