ひとつの国の中で、違う民族がいると必ず問題が起きる。人類のすべての紛争は、大部分が民族間紛争であると言ってもいいほどだ。
現代は、アメリカが多民族国家・移民国家として成功して強大な帝国を築き上げている時代なので、白人と黒人の異民族間の共存も、そして異宗教・異文化の共存も「やればできる」という幻想に支えられている。
また、インドを見ても多宗教・多文化・多民族の国家なのに、新興国としてうまく機能しつつあるという声もある。
しかし、細かく見るとアメリカでもその国内では人種間の軋轢や差別が依然として根深く残っており、それぞれの居住地域も違うし、時には激しい衝突となって噴出する。
インドもまたイスラム教徒とヒンドゥー教徒だけでなく、仏教徒とヒンドゥー教徒、シーク教徒とヒンドゥー教徒、そして同じヒンドゥー教でもカースト間で、多方面に渡って執拗な憎悪と殺し合いにまみれている。
ひとつの国で違う民族が共存できている例よりも、共存できていない例の方が多い。