閲覧注意
南米やアフリカの凄まじい凶悪殺人事件を追っていると、犯行の動機でしばしば加害者が口にするセリフがあることに嫌でも気付く。次のようなものだ。
「それは、俺が自分の意志でやったのではない。悪魔が私の身体を使ってやったのだ。悪魔の仕業だ」
日本ではほとんどの人が神も悪魔も本心から信じていないので、「悪魔が自分に乗り移ってやった」などと言う人はほとんどいない。ところが、南米やアフリカ、いや中東でもインドでも、しばしばこのような犯行動機が語られるのだ。
「憑依(ひょうい)」だとか「悪魔憑き」という現象は、実はキリスト教的文化の中でも、アニミズム的な文化の中でも、よく知られるものである。
善良な人が、ある時から人が変わったように残虐になったり狂ったりする病気や精神病は無数にある。
たとえば、ドラッグ依存、狂犬病、梅毒の末期などは徐々に人格を崩壊させていく。総合失調症も同じだ。脳が壊れていく病気の多くは人の性格や行動を一変させてしまうのである。
医学がまだ未熟だった頃、こうしたものは何が得体の知れない存在がその人の身体を乗っ取ったとしか思えないだろう。