日本も凄まじく気温と湿度が高く、夜中になっても温度が落ちない上に凄まじい湿度になっている。生暖かい空気が身体に絡みつくこの様相は、熱帯の夜と何ら変わりない。
熱帯夜で過ごすと思い出すのは、あのタイの売春地帯にいた妖艶な肉体だ。
熱帯の国の夜は決して静かで落ち着いたものではない。真夜中になっても喧噪は相変わらず続き、むしろ夜になってからが堕落と怠惰が本番となる。
暑い夜は、熱い肉体がよく似合う。
タイの真夜中には、今も「熱い肉体」を追って、世界中から欲望を貪るのに躊躇がない男が集まってきて、ハイエナのようにストリートをうろついている。
そのハイエナの前に現れるのは、様々な肉体だ。
ハイエナは何でも喰い漁るが、その肉は必ずしも美肉だけではない。時には強烈な毒を含んだ肉もあれば、変わった味がする肉の時もある。
それでも食いつくハイエナがいるので、熱い肉体はいくらでも提供される。