ワシントンポストは、かつてはアメリカを代表する強大な新聞社だった。
しかし、インターネット時代になって新聞が読まれなくなったことで売上も利益も極度に減少していき、かつての所有者だったグラハム一族は事業をアマゾン創始者のジェフ・ベゾスに売った。2013年のことだった。
アメリカのニュース雑誌で1923年から広く親しまれてきたタイム誌も、2018年9月16日にセールスフォース・ドットコムの創始者であるマーク・ベニオフに売った。
タイム誌を抱えていた親会社は雑誌「フォーチュン」なども買い手を探している。
すでに新聞・雑誌等の出版業界は凄まじいまでの衰退を余儀なくされている。インターネットの登場で、「紙」は売れないのである。遅かれ早かれ「紙の出版物」というのは稀有なものになっていく。
今どきレコードやカセットテープで音楽を聞く人は「極小」になっているが、それと同じことが出版業界でも起きていて、媒体としても出版物は「極小」と化す。業界は斜陽化して壊滅する。それが現在進行系で起きている。
しかし、面白いことが起きる。市場は壊滅し消費者も消え去ってしまうのだが、それは決して「ゼロ」にはならないのである。斜陽だろうが市場が極小になろうが、小さな世界で生き残る存在もある。(鈴木傾城)