死ぬほどストレスを抱えながら風俗の仕事で働いている女性はかなり多い。無理解な男、犯罪気質な男、暴力的な男、変質的な男、不潔な男……と、ありとあらゆる危険な男が姿を現すのがこの世界なのだ。
いくつかのSNSを見ても、そこはまるで呪詛のように客としてやってきた男たちの悪口が書き綴られている。そうやって吐き出さないと女性たちは精神的に持たないのだ。しかし、それでもストレスが溜まり続け、ある臨界点を超えたとき、女性たちの心身は壊されていく。
「エナジー・バンパイアって聞いたことあります?」
いつだったか池袋の風俗嬢と話をしていたとき、そのように聞かれたことがあった。エナジー・バンパイア……。はじめて聞いた言葉だった。何かのテレビドラマの題名か思ったのだが、そうではないと彼女は言った。
「こっちの生きるエネルギーを、吸血鬼のようにチュウチュウ吸い取っていく人のことを、エナジー・バンパイアって言ってます」
彼女はそのように教えてくれた。一緒にいると疲れ果てて、自分のエネルギーが吸い取られるような気持ちになる男たちが大勢いて、風俗嬢の一部はそういう男を「エナジー・バンパイア」と裏側で言っていたのだった。
セックスワークというのは極限的な接客業であり、女性たちは精神を消耗しながら仕事を継続している。エナジー・バンパイアみたいな男が立て続けにくると、もう彼女たちはメンタルが持たない。
しかし、彼女たちは逃げられない。客は選べないからである。