インドのカーストの最底辺の中の最底辺、カーストにすら入れないほどの身分の人間を「不可触民」と言う。英語ではアンタッチャブルである。
「触ることすらできないほど穢れた人たち」
そういう侮蔑が込められた恐るべき言葉が「不可触民」という単語に表れている。
インドでは売春女性が最下層のカーストであるのは意味がある。それは不道徳だからという理由もあるだろうが、他人にかなり密接に「触れる」からだ。
インドでは他人に触れるというのは「穢らわしい」と考える文化が根底にある。まして、カーストの低い穢れた人間など触りたくもないと思うようだ。
穢(けが)れ……。
「不可触民」というのも触れないほど「穢れて」いるのだという思想で定義された。