「悪いことをした人間にも人権がある」と考えているのは先進国だけだ。
日本人はあまり意識していないが、先進国と言えるのは、世界中でほんの十数カ国だけで、残りはすべて先進国ではない。世界の人口の大多数を占めるのは、先進国ではなく、途上国なのである。
途上国の特徴と言えば、「法治国家ではない」ということに尽きる。つまり、法律が人々を守っているわけではない。法律の存在など無に等しい国家ですら珍しくない。
戦乱国家やアフリカの多くの国、あるいはアラブ圏やアフガニスタン、パキスタンのような国家では法律よりも暴力がモノを言うことが多い。法律がないわけではない。しかし、法律よりも暴力が優先するのである。
たとえば、泥棒をしたらどうなるのか。現行犯逮捕されたら、警察に突き出されるのではない。その場で制裁されるのだ。これは、女性であろうが同じだ。集団でリンチされる。