ユーロ危機は、日本ではあまり報道されなくなっているが、実は不景気が当たり前になって騒がれていないだけで、その構造的な問題は今もまだ続いている。
貧困が深刻化しているのである。
そして、この貧困の深刻化が増すにつれて先鋭化しているのが、移民排斥の問題である。
ユーロ圏の多くは、好景気の時代に労働力不足を移民で埋め合わせてきた歴史的な推移がある。「汚い、キツい、危険」の3K労働を、ユーロ圏の人々はみんな移民に押しつけてきた。
ところが、不景気がやって来ると、こうした3Kの仕事も奪い合いになるばかりか、仕事そのものも減少していくので、移民が邪魔になっていく。
好景気のときは人手不足だったので、合法・違法問わず移民をどんどん受け入れていたのだが、2008年のリーマン・ショック以降から急激に仕事が消えると、移民たちは突如として「厄介者」になったのだ。