都会には人がたくさん集まるのだが、途上国でその都会への人口流入が起きると、とんでもないことになる。何しろインフラが脆弱なので増え続ける人口に対応できない。
電力が足らなくなり、家が足らなくなり、道路は渋滞し、行政が行き届かないのでゴミが溜まり続ける。
仕事が見付からない人が勝手にいろんなところに不法住居を建ててスラムが生まれたり、高速道路下や、公園や、川沿いや、線路沿いに住み着いたりするのだが、そうすると都市の景観もどんどん悪くなり、凄まじい状況になる。
東南アジアもかつてはそうだった。タイのバンコクでも、インドネシアのジャカルタでも、フィリピンのマニラでも、都会に集中した人口を都市が養い切れなくて、あちこちにスラムが生まれていく。
2014年に私は久しぶりにフィリピンに訪れているのだが、そこでも私が見たのは、やはり高速道路沿いにずっと続くスラムの群れだった。マニラから郊外に出る高速道路の下はバラック小屋が建ち並んで雨風をしのいでいた。
高速道路沿いや線路沿いと言えば、今やすっかり中進国となったバンコクでも同じ光景が今もある。クロントイ界隈では今もそうだ。