昭和32年(1957年)に売春防止法が施行されて日本から消え去ったのが赤線地帯と呼ばれる特殊な地域である。
こうした場所は、今で言うところの売春地帯だが、こうした売春地帯が日本に存在するのは「恥」だとして歴史から消されていった。
東京では吉原遊郭、大阪では松島遊郭、京都では島原遊郭が有名だったが、この中で松島新地は「大郭(おおくるわ)」として一時期は吉原をも凌いで日本最大の規模を誇っていた場所であったと言われている。
この松島遊郭が全盛期だったのは明治の頃だ。この頃の松島には250軒以上もの店が並び、娼妓は4000名を超えており、客も人で埋め尽くされていたと言われている。
明治時代は日本という時代が最も激動に見舞われていた時期である。維新という大改革によって時代に翻弄されて没落した人々が続出し、多くの女性が親を養うために自分の貞操を売って金に代えた。
松島遊郭は、こうした女性たちを受け入れて、どんどん巨大化し、そして日本有数の売春地帯へと成り上がって行った。こうした勢いは昭和に入ってからも続いた。
しかし、やがては松島遊郭も戦争の波に飲み込まれていくことになる。