野良犬の女たち

◆歌舞伎町にいた沖縄の女性(2)「寒い」と言いながら東京で必死で働く

彼女は部屋に入って「寒いですねぇ」とゆったりした声で言って、私の顔をまじまじと見つめると「芸能人に似た人を見たことある」と言い出した。「思い出せないけど、似てる人知ってる」と彼女は笑う。 私が芸能人の誰かに似ているというのはない。今まで言われたこともない。だから、彼女の言っているのは、人間関係の距離を詰めるための一種の彼女なりの会話術だったのではないかと私は思った。 アクセントは、よく聞けば少し標 […]

◆歌舞伎町にいた沖縄の女性(1)沖縄出身の女性も当然そこに潜んでいる

野良犬の女たち 以前からずっと気になっていたことがある。「かんなみ新地」にいた沖縄の女たちだ。 兵庫県の尼崎には沖縄の人々がたくさん集まっていて、関西を代表する「ちょんの間」のひとつである「かんなみ新地」にも、沖縄から来た女たちが大勢いた。(ブラックアジア:尼崎(あま)の闇。未だに残るちょんの間「かんなみ新地」) 恐らく沖縄の女性は関西で様々な風俗に潜り込んでいる。その中のひとつに「ちょんの間」が […]

◆四国に潜む流れ者の女(2)彼女は東京で何をやってしまったのか?

四国・松山は夏目漱石の小説『坊っちゃん』で有名な道後(どうご)温泉を抱えているのだが、この道後温泉は道後温泉本館で入れるようになっていて、この建物が重要文化財になっている。 しかし、最近の若い人たちは小説『坊っちゃん』よりも、2001年に公開されたアニメーション映画『千と千尋の神隠し』のモデルになったのが道後温泉本館だったというので関心を持つのだという。 松山に行く前に「道後温泉というのは、そうい […]

◆四国に潜む流れ者の女(1)女たちの出稼ぎ先「松山」に行ってみた

野良犬の女たち 日本のアンダーグラウンドには「流れ者」の女がいる。風俗の「寮完備」の店を転々として日本の歓楽街を這い回ってソープランドやデリヘルやその他風俗の仕事に就き、決して一箇所に定着しない。 普通、女性は各所を転々とする流れ者的なライフスタイルは好まないと言われているのだが、そうではない女性もいたのだ。風俗の女たちの話を聞いているうちに、そうした女たちが大量にいることを知って、私は深い関心を […]

◆ストリート売春をしていた女性が「やっぱり止めます」と震えて言った

野良犬の女たち 新宿歌舞伎町はホストに狂った女たちが次々とビルから飛び降りたり、住吉会系の暴力団が入るビルに銃弾が撃ち込まれたりして、相変わらず物騒な街だった。そうした事件の現場をふらふらと通り過ぎながら歌舞伎町のホテル街を歩いていく。 夜になると冷たい風が吹きすさんで身も縮むような気温なのだが、なぜか歌舞伎町はいつもにも増して人が多いように見える。観光客も多いが日本人も多い。年末で飲み会が立て込 […]

◆日暮里に立つ野良犬の女(2)鈴木傾城がやらずボッタクリに遭う日

野良犬の女たち 私を見つめるこの女性は、まったく表情を変えず、ニコリともせず、無言でじっと私を見つめて、私が何者なのかを知ろうと考えているようだった。困惑しているようにも見えた。 私を警戒しているのだが怯えてはいない。恐らく、彼女がいつも相手にしている男たちと私は雰囲気がまったく違ったので、男が何者なのか分からずに当惑しているのだろう。 とは言っても彼女は野良犬の女だ。ストリートに立って男を待って […]

◆日暮里に立つ野良犬の女(1)ちょっとした違和感を感じさせるセンス

野良犬の女たち 東京でラブホテル街として知られているのは「鶯谷」である。(ブラックアジア:鶯谷で見た野良犬の女。女たちに声をかけて気づいた裏側の変化とは?) その次の駅が日暮里だ。日暮里もまた鶯谷ほどの規模ではないが、駅前にいくつものホテルが建っていてデリヘルを中心とした風俗の女たちが近くで待ち合わせしたりする姿を見る。 そして、この日暮里にもまた売春する女たちが立っている。 日暮里は駅の付近に外 […]

◆死にたくなって宇都宮。東京を離れた20歳の風俗嬢は生き残れるか(2)

野良犬の女たち 宇都宮で会ったこの20歳の女性は、厚い化粧にブロンドの髪にブランド物のバッグや小物を持っていたのだが、よく見ると表情はまだあどけないところが残っていて、「女性」というよりも「娘」と言った方が似合う年頃だった。 しかし、彼女はすでに「身体を売るビジネス」に関しては3年以上も経験がある。もう彼女は素人ではない。たった3年間で彼女はもう何百人もの男を知り、そして精神的にも消耗し、睡眠薬だ […]

◆死にたくなって宇都宮。東京を離れた20歳の風俗嬢は生き残れるか(1)

野良犬の女たち 宇都宮は栃木県の中核都市だが、人口は50万人以上もいて結構な規模の都市だ。上野から普通の電車に乗って向かっても2時間以内で着く。東北・北海道新幹線を使うと一時間もかからない。 とは言っても、東京県内で暮らしている人間には宇都宮はまったく行く用事もなければ関心もないはずだ。東京の人間が栃木県に行くと言えば、日光か那須に観光に行く程度でしかなく、宇都宮を好んで行く人はほとんどいないので […]

◆海を渡ってきた流れ者。新大久保にもまだタイ女性が立っていた(2)

野良犬の女たち 夜の新大久保の路地は、どこを歩いてもゴミの臭いが強い。普通のゴミではなく、ニンニクの強烈なゴミの臭いだ。 私が知り合ったばかりのタイ女性と歩いていると、向かい側から大きな声で叫ぶように韓国語を話している二人組の若い男と通りすがったのだが、彼らもまたニンニクの臭いをプンプンさせていた。 “Korean, many many”(韓国人いっぱいね) タイ女性が言っ […]

◆海を渡ってきた流れ者。新大久保にもまだタイ女性が立っていた(1)

野良犬の女たち 新宿歌舞伎町のラブホテル街を北に抜けると職安通りに出る。当の職安(職業安定所)は、もうすでに「ハローワーク」という名前に変わっている。以前、デリヘル嬢とここを歩いていた時のことを思い出す。彼女は通りかかったハローワークを指差してこのように言った。 「もう職安ってハローワークって名前に変わったんだから、職安通りもハローワーク通りにすればいいのにね」 私は笑って受け流したのだが、それが […]

◆町田にいた野良犬の女。スマートフォンが圏外になってストリート売春(2)

野良犬の女たち 中国人のストリート売春の巣窟になっている町田のラブホテル街だが、ここにも日本人の女性が静かに立っている。 そう言えば、まだ町田に「たんぼ」と呼ばれる小さな「ちょんの間」が密集していた時代も、ここには日本人のストリート売春をする女性が何人かいたのを思い出した。 その時にいたのは中年女性ではない。まだ未成年なのではないかとおぼしき、あどけない顔をした若い娘だった。後で知ったのだが、当時 […]

◆町田にいた野良犬の女。スマートフォンが圏外になってストリート売春(1)

野良犬の女たち 1990年代はバブルが崩壊して日本がどんどん経済情勢を悪化させていった暗い年代だった。しかし、日本のアンダーグラウンドは妙に高揚した勢いが続いていた。風俗の話ではない。売春の話だ。 外国の女性たちは「日本はジパング(黄金の国)だ」とまだ思い込んでいたし、日本に行きさえすれば稼げると考えていた。だから、東南アジアからも中国・韓国からも、果ては南米からもロシアからも、次々と女性がやって […]

◆池袋にいた野良犬の女。私には彼女の下半身が昆虫にしか見えなかった(2)

最初から彼女は物怖じしない性格で、いったん私に取り付くとまるで旧知の知り合いのように、馴れ馴れしく話してくるのだった。 その恬淡(てんたん)とした話しぶりは、さっきまで薄暗い夜の闇にひっそりと立っていた女性とは思えないほどだった。もともと、このあっけらかんとした屈託のない性格が彼女の性格なのだろう。 「ここは詳しいの?」と彼女が訪ねてきたので、「いや、池袋はたまにしか来ないよ」と私は答えた。たまに […]

◆池袋にいた野良犬の女。私には彼女の下半身が昆虫にしか見えなかった(1)

野良犬の女たち 池袋駅の北口から線路沿いに北上して行くと、やがてラブホテルが密集した場所に入るのだが、ここはかつて多国籍の外国人のストリート売春をする女性が大量に立っていた場所だ。 中国人や韓国人もいたが、コロンビア人やパナマ人などの南米系の女性たちも多かった。私はここで知り合った褐色の肌のパナマ女性が気に入って、しばらく付き合っていたことがあった。27歳くらいの頃だった。 スラリとした体躯にボリ […]

◆鶯谷で見た野良犬の女。女たちに声をかけて気づいた裏側の変化とは?

野良犬の女たち 今年の夏は死ぬほど暑かったのだが、季節が巡って何度かの長雨が続き、それが終わった後、夜中にほっつき歩くと少し肌寒く感じるようになってきた。私はほとんど電車に乗らないのだが、この日は電車に乗って鶯谷まで向かった。 東京と言えば、地方の人々は華やかなイメージしか持たない。しかし、池袋から上野に向かう山手線上の駅はどこかしら地方都市の駅のように疲弊しているように見える。特に、田端・日暮里 […]

◆新シリーズ『ブラックアジア 野良犬の女たち』をスタートします

2015年から2018年まで、日本のアンダーグラウンドを制覇したデリヘルを扱った「ブラックアジア・イン・ジャパン」をひとつのシリーズとして続けてきた。このシリーズは、現在、以下に電子書籍としてまとめている。 デリヘル嬢と会う デリヘル嬢と会う2 私は日本人にも関わらず今まで日本の女性と関わることはほとんどなかったので、彼女たちの人生を探るのは、とても興味深い経験になった。身体を売る日本人女性とは、 […]

ブラックアジア:野良犬の女たち(ストリート売春、そして流れ者の女)

今後しばらく、日本のアンダーグラウンドにいる二種類の野良犬、すなわち「ストリート売春をする女たち」と「出稼ぎして流浪する女たち」の両方を追いかけてみたいと思う。これを「ブラックアジア野良犬の女たち」と名付けて、闇の女たちを追って行こうと思う。