中東では、イスラムのスンニ派とシーア派が骨肉の争いを繰り広げている。スンニ派がイスラムの主流であり、その最大勢力はサウジアラビアである。
一方、シーア派はイランで強固に根付いており、その勢力をじわじわと広げていこうとしてスンニ派と激しい衝突を繰り広げている。
どちらもイスラム社会の中で支配権を獲得しようとしており、暴力で相手をねじ伏せようとしている。
中東が結束できないのは、このスンニ派とシーア派の衝突が解消できないからである。一方が主導権を主張すると、もう一方が必ず反発する。だから、中東は常に波乱含みと化す。
こうした二大勢力の争いは、中東の各地域にしばしば代理戦争を引き起こす。現在、悲惨な状況になっているのは、アラビア半島の南端に位置するイエメンである。
イエメンは34年にも渡ってアリー・アブドッラー・サーレハが独裁していた国だが、2011年のアラブの春の中でアブド・ラッボ・マンスール・ハーディーに大統領権を委譲した。
ところが、サーレハは突如として大統領権委譲の交渉を打ち切って、自分が継続して権力を掌握することを宣言した。その背景にはシーア派イランの支援があったと言われている。