厚生労働省エイズ動向委員会が出している「平成28(2016)年エイズ発生動向ー概要ー」を見ると、いろいろと興味深い事実が浮かび上がってくる。
その中で少し驚くのは新規にHIV感染した人たちの年齢を見ると性的に不活発になるはずの60代でも次々と男たちが感染していることだ。60代どころか70代になってもHIVに新規感染している。
このデータを見てすぐに思い出したのが、今までインタビューしてきたデリヘル嬢たちである。彼女たちにいろいろ聞くと、60代以上の高齢者の客は決して珍しいものではなく、むしろ日常であると話していた。
これは、高齢者専門のデリヘル嬢の話ではない。普通のデリヘルを60代以上が日常的に使っているのである。
さらに、何人かのソープ嬢にも会ってインタビューしているのだが、彼女たちもまた「50代、60代の客がバイアグラを飲んでコンドームなしで膣内射精している」と教えてくれた。
高齢者ほどコンドームを使わない傾向がある。なぜなら、「もう先が長くないので性病だろうがエイズだろうが怖くない」からだというのだ。だからよけいに無謀になる。
医療の発達とバイアグラの登場で、もう60代でもセックスから引退するような時代ではなくなっているのが、こうした話から浮かび上がってくる。(鈴木傾城)