自分が超人ではないことを知り、かと言ってダメなわけではないことも知っておく

夢を見すぎてバランスを崩してはいけない。自分が超人ではないことを知り、かと言ってまったくダメなわけではないことも知り、その上でできる限りの可能性を探っていく。そうやって現実を直視して生きるのは役に立つのだ。きちんと現実を直視する能力が自らを助けることになる。(鈴木傾城)

鈴木傾城

プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。経済分野を取りあげたブログ「フルインベスト」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。連絡先 : bllackz@gmail.com

ほとんどの人はIQ85以上115未満の中

生まれつき、平均よりも高度な知的能力を持っている人たちがいる。彼らのことを欧米では「ギフテッド」と呼んでいる。この高度な知能は「天からの贈り物(ギフト)」という意識からきている。

ギフテッドは欧米では一般的にIQ130以上を基準としているのだが、この基準では全人口のおよそ2%が該当する。基準をやや緩めて特定分野での突出した能力まで含める場合は、3〜5%程度とされることもある。

いずれにせよ多数派ではないのだが、確実に存在する。

ところで、ギフテッド(天才)がいるということは、逆に言えば平均よりも劣る人たちもいるということでもある。知的障害の領域にいる人もいれば、知的障害には該当しないが平均よりは下の人もいる。

彼らは「ボーダー」と呼ばれている。一般にIQ70以上85未満が目安とされ、統計的には全人口の約14%前後が該当するとされる。場末の風俗の中にも、ボーダーと思われるような女性も多く働いているのを私は確認している。

ほとんどの人はIQ85以上115未満の中に含まれていて、統計的には約68%がここに入る。

だが、ここに入っていたとしても、人の能力はそれぞれまったく違う。他人よりも優れた部分もあるかもしれないが、逆に劣る部分もあるはずだ。だから、うまく生きるためにも、自分の才能と限界がどこにあるのかを知っておく必要がある。

だが、実際は自分の能力を正しく見極めるのはとても困難である。

誰でも「自分には無限の可能性がある」と信じたい気持ちがあるからだ。「自分はやればできる」と思い込みたい。限界があるとか思いたくない。そのため「楽観的な方向」にバイアスがかかりやすい。

自分が自分を信じないと、やるせなくて生きていくこともできない。そのため、どうしても大きな主観が入る。

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リストカット、オーバードーズ、自殺、自暴自棄、闇バイト、社会に対する復讐感情、荒れていく社会の裏側。日本社会の裏側は、どうなってしまったのか?

楽観的過ぎると現実から遊離していく

楽観的に自分の能力を信じるのは、その逆よりはずっと良いのだが物事には限度がある。あまりに過度の主観や楽観主義でいると現実と理想が乖離して、やがて深刻な問題が生じてしまう。

自分の能力がわかっていないと、無謀な選択を選んでしまうのだ。その結果、学業・仕事・人間関係・資金管理で失敗し、最終的に破綻に至ってしまう。

かと言って、自分のすべてに悲観していても、能力や才能を腐らせて自己実現も難しい。「あれも無理だ」「これもできない」と言っていると自分を萎縮させ、やはり生きていく上で問題が生じてしまう。

過度な楽観も過度な悲観も、どちらも「毒」になる。それは、どちらも現実を見ていない証拠だからである。

「人間は誰でも無限の可能性がある」とか「誰でも強い願望を持てば成功することができる」とか、その手の内容が書かれた書物が毎年のように出版されて売れていく。

現在では、こういった幻想が危険なまでに強く吹き込まれていて、多くの人がそれを真に受ける。人々は「そのように信じたい」のだ。それで自分は無限の能力があると幻想に浸り、現実からどんどん乖離していく。

「人間は誰でも無限の可能性がある」というのは、それ自体が問題であるというよりも、それを盲信することによって現実を見失うことが問題なのだ。

現実を直視するという前提があって可能性を追求すべきなのだが、最初に「無限の可能性がある」と信じてしまえば現実を見失う。悪いことに、あまりにも自分に対して楽観的過ぎると、その幻想を崩さないために失敗を恐れ、何も挑戦しなくなる人も出てくる。

努力や失敗はけっして悪いことではない。むしろ、失敗するということは行動しているということであり、それは何もしないよりも意味がある。一番まずいのは、行動しないで過信だけすることだ。

夢だけが肥大すると、それによって現実が見えなくなり、やがては社会で生きていくことすらもできなくなる。

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圧倒的な「闇」を体現するのが「やむやむさん」だった。オーバードーズを「人生そのもの」と語り、幻覚に心地よさを感じ、度重なる救急搬送にも「怖くない」と笑う。

「自分は超人ではない」という苦い現実

他人はともかく、「自分に限って」は限界はないと狂信する人もいる。若ければ若いほどそうだ。しかし大多数の人は、日々の生活の中で現実を悟る。いくら自分に可能性があると思っても、現実はそんなに甘いものではないと身をもって知る。

自分よりも能力を持った人がどこにでもいることを発見し、自分を超える人は珍しくないことを知り、彼らには才能が先天的にギフトされていて、自分にはされていなかったということを知る。

「自分には無限の可能性がある」というのは、いずれは幻想であるとわかってしまうのだ。若ければ若いほど楽観的で、歳を取れば取るほど悲観的になるのは、現実を見てきた差であるとも言える。

どうにもならない現実と格闘し、悩んだあげくに、人は等身大の自分と折り合いを付けて、それを受け入れる。

要するに大人になっていく……。

20代を過ぎる頃になると、だいたいの人が理想の自分と等身大の自分のギャップに戸惑い、思い悩みながら、自分の本当の姿を悟ることになる。

もちろん、どうしても現実が受け入れられない若者も出てくる。そう言った若者であっても、夢の実現の途中でかならず容赦ない競争や、選抜が待っている。

現実は自分の思う通りにはならない。ほんの一部の人たちを除いて、大多数が蹴落とされてしまうのだ。そのときになって、やっと「自分は超人ではない」という苦い現実を悟り、目が覚める。

誰もがそうやってたくさんの挫折を繰り返して、自分の中にあった誇大妄想を消していく。人間は誰でも「自分には無限の可能性がある」と信じたまま生き続けることはできない。

ところが、自分が実現できると信じている夢を、「けっして覚めない夢」にする方法を見つける若者も中にはいる。引きこもって何もせず「やればできるのだ」と思っているだけで、それは覚めない夢になる。

この方法を使えば、どんなに実現不可能な夢であっても、それを見続けることができる。自分は大物だと思い込んだまま生き続けることができる。

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「現実を直視する能力」が自らを助ける

引きこもり、挑戦しなければ、いつまでも「人間は誰でも無限の可能性がある。自分も一流になれる。やればできる」と心地良い夢を持ち続けることができる。

だが、人間は誰でも年老いることは避けられないから、仮にもし本当に才能があったとしても老いることで才能は発揮されないまま枯れてしまうことになる。

一般的には、人間の体力は20代前半でピークを迎え、知能は40代で退化していくことになる。天から才能をギフトされた神童でも、才能を磨かないと年齢がそれを腐らせる。つまり、無限の可能性の多くは避けられない肉体の劣化で潰されていく。

だから、自分に何ができて何ができないのかを見極めるのは早ければ早いほどいい。人生の早いうちに、自分のできることとできないこと、得意なことと不得意なことを把握しておかなければならない。

自分を知るには現実主義になるしかない。

自分のことは自分が一番よく知っているのだから、自分自身が自分のことを客観的に見れなければ、その後の人生を大きく誤ることになりかねない。

きちんと自分を冷静に見つめ、自分の限界を知り、そこにほんの少しの「楽観」と、大きな「努力」を入れる。自分の弱みと強みを状況を見つめて、客観的にどうすれば一番いいのかを現実的に選択する能力を持つ。

客観的に自分を評価しながら、自分にできることを社会の中で模索し、ひとつひとつをきちんとこなしながら這い上がっていく。それは泥くさい生き方かもしれないが、夢ばかり見て何もしないよりは何百倍も役に立つ生き方である。

夢を見すぎてバランスを崩してはいけない。自分が超人ではないことを知り、かと言ってまったくダメなわけではないことも知り、その上でできる限りの可能性を探っていく。そうやって現実を直視して生きるのは役に立つのだ。

きちんと現実を直視する能力が自らを助けることになる。

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コメント

  1. ゆう より:

    ほとんどの人たちは現実を直視したくないでしょう。
    会社をでかくした創業者も単にたまたま上手くいっただけで
    そこまで大した実力なんかないと
    認めたくないはずです。

  2. ねこみみ より:

    「まだ本気出してないだけ」と言い訳しつつ、何年過ぎたことだろうか…
    本気出さなきゃ長い夢で終わってしまう

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