インドには「蛇使い」という職業がある。かごの中に入れたコブラを笛で踊らせる大道芸である。この芸は今でも行われていて、私はムンバイの路上で見たことがある。
使っているヘビは、もちろんコブラである。
コブラの前で笛を吹き、笛を揺らすとコブラが立ち上がって、大きく首を広げ、笛と一緒に時おり身体の向きを変えるので、それが踊っているように見える。
ヘビは噛みつくし、ましてコブラは人間を死亡させる猛毒を持っており、近寄るだけでも危険な爬虫類だ。だから、このコブラを自由自在に操るカーストは一目置かれている。
これはインド伝統の芸であり、この芸をするだけのカーストがある。やはり貧困カーストなのだが、インドではヘビ使いのカーストとして存在を認められている。