2013年12月29日、フィリピンのカビテ州ダスマリニャス市サンタルシアの路上で、ひとりの日本人が射殺された。新倉英雄さん61歳。フィリピン妻を追って、2013年9月にフィリピン入りして、3ヶ月ほど経った矢先だった。
フィリピン妻とは、東京のフィリピン・パブで1990年頃に知り合って、2005年に結婚した。53歳の頃だった。53歳と言えばもう若くないが、これが彼の初めての結婚だった。
やがて、ふたりの間に子供もできたが、妻はフィリピンに帰国した。そこで、彼はフィリピンと日本を行き来して、フィリピンに行くたびに100万単位で金を置いていったという。
彼は決して金持ちでも何でもない。警備会社で真面目に働いていた普通の庶民だった。
しかし、結婚した妻と子供のために、せっせと金を渡していたのだった。律儀な性格だったことが分かる。
フィリピン妻は何かにつけて「金が足りない」と言っては彼にねだったが、彼は黙って金を送金し続けていた。そして、60歳で定年退職したあと、フィリピンに移住したが、それから数ヶ月もしないうちに殺されたのだった。